コミュニティ・カレッジ(Community College)とは
コミュニティ・カレッジって聞いたことあるでしょうか? 私自身、アメリカにどうにかして留学できないかと調べるまで知らなかったのですが、コミュニティ・カレッジとは2年制の大学で、修了すると Assosiate Degree(準学士号)が取れます。取得した単位は4年制大学に移行でき、Bachelor’s Degree(学士号)を取るにあたって必要な単位の約半分は受講済みとみなされるので、半分の期間(約2年)で4年制大学を卒業できます。
コミュニティ・カレッジのいいところ①:学費
コミュニティ・カレッジの利点は、なんといっても学費が安いこと。
アメリカの大学は高い、というのは皆さんどこかで聞いたことがあると思いますが、本当に高いです。特に留学生だとMAXの学費を払わなくてはならないケースが多く、たとえば私立のMIT(マサチューセッツ工科大学)では1年の学費がおよそ62,000ドル(約930万円)、マサチューセッツ州立大学(UMass)で41,000ドル(約615万円)かかります!* 日本だといわゆる「私立医学部」並みのお値段ですよね…。
*参考にしたウェブページ
MIT:https://sfs.mit.edu/undergraduate-students/the-cost-of-attendance/annual-student-budget/
UMass:https://www.umass.edu/financialaid/undergraduate/undergraduate-costs
(1セメスター12単位以上取得(フルタイム)、1年で2セメスター、1ドル150円で換算)
それに比べると、私が実際に支払った2学期間の学費は13,000ドル弱(約190万円)だったので、上記の私立、公立の4年制大学に比べれば、かなり費用が抑えられることが分かります(それでも高いけど!)。
ちなみに、州立大学とコミュニティ・カレッジの学費は、州内の学生 << 州外の学生 < 留学生 という感じで、州内と州外の学生で倍くらい違ってきます。大学によって条件はいろいろみたいですが、ご家族が州内で働いていて一定期間税金を納めていると、州内の学生扱いしてくれるケースもあるみたいなので、家族のアメリカ駐在に同行して渡米しているような場合は調べてみるのが良いと思います。
コミュニティ・カレッジの良いところ②:サポート
費用の設定からもわかると思いますが、コミュニティ・カレッジは経済的に4年制大学に進むのが難しいが、高等教育を受けたいという学生のために設けられています。そのため、学生は人種・国籍に限らず多種多様で、4年制大学に普通にいける経済力のあるお家だけど、学費を抑えるため、または興味ある分野を見定めるためコミュニティ・カレッジに来ている学生、働きながら隙間時間を見つけて授業を受けている学生、子育てが一段落したお母さんたち、家庭内暴力から逃れてホームレス用のシェルターから通ってきている学生まで(この話を聞いたときは本当に衝撃でした)本当にさまざまです。
私が通っていた MassBay Community College では、こうしたさまざまなバックグラウンドを抱えた学生を支援するため、種々の奨学金はもちろん(ただし留学生を対象とした奨学金は限られる)、食費、交通費、教科書代を支援する制度があったり、冷凍食品の無料配布や月に1回野菜などを配布するモバイル・マーケット、さらに女子トイレには生理用品が置いてあったりして、学業を続けるためのいろいろな取り組みがありました。学業面でも学生個人個人に専属のアドバイザーが付き、転入したい大学や学部に合わせてコースの選択をアドバイスしてくれ、ライティングや数学のラーニングセンターがあったり、オンライン質問サービスを24時間使えるようになっていたりと、サービスが充実していました(ただしこれはCommunity Collegeの資金力によります。MassBay Community Collegeは幸い力のある学校で、州の予算や寄附を集めやすいので、充実したサポートが実現できていたのだと思います。後述する通り、学校選びは非常に大事)。
コミュニティ・カレッジの悪いところ①:評判、偏見
残念ながらコミュニティ・カレッジにはよくない評判、偏見があるようで、コミュニティ・カレッジに通う学生は貧乏で、頭が悪くて、やる気もない、と思われているようです。MassBayの教員やスタッフたちがそれを払しょくしようと奮闘しているのを見て、なるほど一般にはそう思われているんだな、と初めて知りました。
ちなみにこれ、まったくの事実無根でもないようで、コミュニティ・カレッジを6年以内で卒業している学生は40%に過ぎず(ちなみに前述の通り、フルタイムで通えば2年で修了できるはずのプログラムです)、多くは1年でドロップアウトしてしまうとのこと。MassBay Community Collegeは州内いちばんのコミュニティ・カレッジとされていて、ほとんどの学生が意欲的に勉強して4年制の大学に編入しますが、学校によっては、学生にやる気がないから進学/就職実績が出ない → 予算や寄附金が減る → 設備やサポートが悪化して評判が落ちる → やる気のない学生だけ入ってくる、みたいな悪循環になってしまっているんだと思います。特に近年はコミュニティ・カレッジの劣化が問題になっているのだとか。なのでコミュニティ・カレッジに留学するなら学校選びは非常に大事です。
コミュニティ・カレッジの悪いところ②:教授の質
アメリカでは、幼稚園から高校まで「教師」という職業はすべからく給料が安い、というのが広く知られていますが、コミュニティ・カレッジの教授陣も残念ながら給料はそんなに高くないようです(在学中に教員たちが抗議活動していました)。そのためか、教員はわりと高齢の人が多く、中にはやる気がない先生もいる模様…
とはいえ、「あえて」コミュニティ・カレッジを選んでいる意欲のある先生は、いろいろな困難を抱える学生を支援することにこそ意義がある!と志に燃えている人が多く、この先生は偉いな、すごいな、と思える先生にもたくさん出会いました。ただし教員の質も、学校のレベルや資金力に強く影響されると思いますので、やはり学校選びはとても大事です。
まとめ
コミュニティ・カレッジのよいところ、悪いところを上記でいろいろ見てきましたが、私個人としてはMassBay Community Collegeは非常によく、全力で気持ちよく勉強できたし、さまざまな刺激を受けました。また、たとえばアメリカ駐在中や家族の駐在同行中に、アメリカの法律勉強したいな、ESLの授業だけ受けてみたいな、というような場合には、夜間のコースも充実しているコミュニティ・カレッジは非常に利便性が高いと思います。
一方で、高校を卒業してアメリカで学位を取るためにコミュニティ・カレッジに留学したいという場合には、学校選びが非常に重要なことは強調してもしきれないです。4年制大学への転入にあたっての単位の移行は素人ではわからないところもあり、下手するとお金と時間をかけて単位を取ったのに転入に使えなかった、ということにもなりかねません。適切なアドバイザーの存在が必須なので、サポート体制や転入実績などよくよく調べてみることをお勧めします。