帰国にあたっての大仕事のひとつは、がんばって購入した中古車を売却することでした(別記事「アメリカで中古車を買う(マサチューセッツ州の場合)」参照)。出国ぎりぎりまで乗っていたかったので、アパートを引き払う当日、フライトの前々日に売却する、というスケジュールを組んで動きました(結果、後述するように、自動車保険の解約の手続きで冷や汗をかくことになりました…)。
買い取り業者の選定
購入と同様、中古車売却も個人間での取引が珍しくないアメリカですが、今回はタイトなスケジュールで売却したかったのと、私の帰国後に書類の手続き不備などが起こったときに取り返しがつかないので、中古車買い取り業者に引き取ってもらうことにしました。
Googleで「Sell my car Boston/Massachusetts」や「Car buyers in Boston/Massachusetts」などのキーワードで検索すると、買い取り業者が出てきます。実際にどのサイトだったか、今となっては探せないのですが、買い取り額の比較を出してくれるサイトがあって、VIN(Vehicle Identification Number、17桁のアルファベットと数字からなる車両識別番号)と走行距離、車の状態等を入力すると、各業者のおおよその買い取り額が出てきます。20,000ドルで買った2020年製トヨタカローラ、走行距離54,000マイル(約87,000キロ)の最高買い取り見込み額は、大手中古車業者 CarMax の15,000ドルでした。
別途業者の評判を調べてみると、Boston Car Buyers という業者が地元では評判がよさそうだったので、ウェブサイトから見積もり依頼をしました。するとすぐに、「だいたい13,500ドルくらいになると思う。んで、今日これから車置きに来るかい??」と連絡が笑。中古車購入の時も「今日買いに来る?」と聞かれてびっくりしましたが(別記事参照)、中古車業界ってのは売るのも買うのも生き馬の目を抜く世界なんですかね? 来月の売却を考えていることを伝えたうえで、家まで車の買い取りに来てくれるのか、この後ロードトリップをしたら買い取り額に影響が出るのか、などなど質問すると、(アメリカ基準では)丁寧に答えてくれたので、買い取り額が少し下がってもこの業者にしよう、と思いました。
瞬殺の中古車引き取り
「引き取りにかかる時間は20分くらい、長くても30分くらいだよ」と事前にメールで言われていてほんとかいな、と疑っていたのですが、当日は本当に20分で売却が完了しました。
ハーフパンツのおじさんが車に乗って一人でやってきて、車の周りをぐるっと見たり、エンジンをかけたり、ダッシュボードの表示を確認したりして、「バンパーがちょっと浮いてきちゃってるから、13,000ドルかな?」と(一度ぶつけられて、修理したのですが、その修理が甘かったのです…)。頑張って交渉してもよかったのですが、アパートの退去日当日ということもあって、もういくらでもいいから持っていってくれ、という気分だったので、了承すると、その場で書類を取り交わしました。
こちらで用意しなくてはならない書類は Certificate of Title(名義証明書)で、裏面の「Assignment of Certificate of Title by Owner(所有者による名義の譲渡)」という欄に、売り手と買い手双方でサインをします。もうひとつ、「Bill of Sale」という書類も必要で、それは業者の方が用意してくれ、こちらも売り手・買い手の双方がサインをしました。
その場で13,000ドルのチェックを出してもらい、「車は明日取りに来るから、置いといて~」と言っておじさんは帰っていきました。
自動車保険の解約に、名義の取り消しが必要!
おじさんが帰り際に、「そういえば、車売却したらRMV(マサチューセッツ州の運輸局)に行ってタイトル(Title, 名義)の取り消ししたほうがいいよ。法令で何日以内に取り消すこと、って決まっていて、違反すると罰金取られちゃうかもしれないから。ま、あなたは国から出るんだし関係ないかもね。」と軽く教えてくれたのですが、まさかこれが自動車保険解約の際に立ちはだかるとは…。
契約していた自動車保険、Progressive に解約希望で電話したところ、「もうタイトルはキャンセルしているのね?」と聞かれて、いや、これからやろうと思っていたところ(本当は無視するつもりでいた)、と伝えたところ、「マサチューセッツ州の法律で、自動車のタイトルを保有している限り自動車保険の解約はできないことになっています」と言われ、びっくり仰天。
Progressive に電話を入れた時点で、すでにアパートを退去してホテルに移っており、フライトまであと2日、アメリカで動けるのは実質あと1日という状況でした。RMVはお役所仕事で、とにかく何でも時間がかかることで知られており、やばい、出国までに保険解約できないかもしれない、と血の気が引きました。
ちなみに、マサチューセッツ州発行の免許証とSSN(ソーシャルセキュリティナンバー)を持っていれば、オンラインでタイトル取り消しの手続きができるので、それほど心配することはありません(RMVの Cancel your vihicle registration を参照)。私の場合は条件を満たさず、RMV現地に行っての手続きが必要でした。
奇跡的だったのが、泊まっていたホテルが Watertown にあり、RMVまで徒歩で行ける場所だったこと。すぐに書類を記入し、ホテルのプリンターでプリントアウトして、子どもたちを引き連れてRMVに駆け付けました。売却の際の書類やら、名義のコピーやらいろいろ取り揃えていったのですが、幸いそれほどややこしい手続きではなかったようで、少し並んで窓口にたどり着いたらパスポートと免許をチェックしてその場ですぐに名義の取り消しを行ってくれました。
再度 Progressive に電話をして、今度こそ無事に解約完了。やれやれです。
多額のチェックの入金は、銀行に行かないとダメ
13,000ドルのチェックを銀行口座に入金しようと、ほくほくと銀行のアプリ(私の場合は Chase を使ってました)を開けたら、Mobile Deposit(銀行のアプリを使って、チェックをカメラで読み取ると口座に入金できる) の上限額が7,500ドルに設定されていて、銀行に出向かなくてはいけないことが判明。こちらも泊っているホテルのすぐそばに Chase銀行の支店があったので、手続きをしてもらいました。待たされることもなくすぐに手続き終わりましたが(そういえばアメリカの銀行で待った経験って一度もないです)、やっぱり出国の直前に手続きすると、いろいろとバタバタするなと思いました。
教訓:車の売却は余裕を持って
今回、帰国のフライトの2日前に中古車を売却して、どうにかなるにはなりましたが、上述の通りひやひやする場面もありました。アメリカは車なしでは1日でも過ごすことができないので、どうしても出国直前まで車を持っていたくなりますが、もし直前に売却をするなら、運輸局関係の手続き、自動車保険関係、高速道路料金の支払いなどなど、TODOリストを書き出して、事前によく調べて進められることをお勧めします。